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Q6.場面緘黙の英才児の場合、母性的な先生と優秀なお友達たちとなら、どちらと一緒にいるのがよいでしょうか?
  
(7歳男児の保護者の質問)

 息子は7歳、小学校1年生です。息子は現在7.5mgのレクサプロ(日本で未認可)を服用しています。現在週2回、遊戯療法も通っていますが、まだそのセラピストと話していません。彼は学校で1人の男の子に向かって小さな声でささやくだけで、体育や休み時間、図書などの時間には活動に参加していません。息子は非常に能力が高く、2年生で6年生レベルの読解力があり、かけ算や割り算は4歳の頃からできました。来年度2年生担任には息子にとってよい先生をお願いしたいと思っていますが、学校には英才児童向けのクラスがあります。学校には、本当に優しく親切で、気遣いが行き届く先生がいて、皆さんからその先生が息子にぴったりではないかと言われます。しかし、英才児童のクラスは、勉強面で厳しく指導する先生が担当することになるようです。
息子は、自分は周りの子達とはかなり違うといつも思っているようで、私はそのことが気になっています。場面緘黙の英才児の場合、気遣いが行きとどく母性的な先生と過ごすのと、優秀な子ども達と一緒に過ごすのとでは、エリザ先生はどちらがよいと思われますか? 優秀な子どもたちと同じクラスでなければ、不安は大きくなるでしょうか。 息子が話せる友達は違うタイプの先生を必要としているので、違うクラスになる予定です。

 レクサプロについてはどう思われますか?症状改善が見られないため、おそらく次回診療で、お薬を増やすか別の薬に変えることになるかと思います。ご意見どうぞよろしく願い致します。





 (エリザ・シポンブラム博士の回答)

 積極的に治療を受けようとされていて、嬉しく思います。ただ、息子さんが遊戯療法を受けていらっしゃると伺い、お聞きしたいことがあります。 そのセラピストは息子さんのコミュニケーションを促すために何をされていますか。セラピストが、非言語から言語コミュニケーションへと促そうとしており、様々な場面でのお子さんの不安を理解しているならば、遊戯療法もよいのでしょう。例えば、息子さんは学校では、先生と1対1の場面では、指さししたり頷いたりして緊張せずに応えられますか。グループ場面ではどうでしょう。人数が少ない場合はどうですか。言葉を使わずに、自分の方からして欲しいことを伝えたりできるでしょうか。例えば、息子さんは先生のところに行って、不安を感じずに自分の要求を示すことができますか。どうやって、話せる人から別の人へと発話を移していきますか。レストランで注文はできますか。電話をしたり、電話をとって応えたりできますか。もしも、これらの質問の答えが定かでなく、セラピストがどのようにして息子さんの改善を進めていくのか、はっきりしないようでしたら、あなたはセラピストとぜひ話しあってみてださい。セラピストは、学校がどのように子どもを支援すればよいか、保護者と共に話し合って学校に伝えておくことが必要です。目標を、セラピーの場の外、現実世界での状態改善におくのならば、セラピーで子どもがリラックスできるように子どもと遊ぶことは、よいと思います。息子さんを支援するためには、セラピスト、学校の先生、そして保護者が、協力し合うことが必要です。この三者がそれぞれバラバラに動いていてはうまくいきません。

 つまり、典型的な場面緘黙では、子どもの不安は、ある場所と別の場所、またある人と別の人では、それぞれ変化しますから、息子さんがセラピストと話すかどうかでは、症状改善の度合いを測れないのです。セラピーの場以外で、どれくらいコミュニケーションの改善が進むかが重要な指標です。

 子どもの学校生活でのコミュニケーションのしやすさは、先生次第で決まります。先生が場面緘黙を理解し、不安の大きさはその時々で変化すること、お子さんの身振りや仕草を読み取ることができることや、不安を下げるにはどう支援すればよいのか分かっていることが大切です。緘黙の子どもが一日中コミュニケーションできないのは、不安から生じる反応であり、人への反抗やコントロールのためでないと理解していることも大切です。

 担任選びや英才児童のクラスにするかどうかは、お子さんがどうしたいかによるでしょう。成績によって自信や安心を感じる子どもは多いですから、そういう子には学力面を抑えてしまうのはよくないでしょう。学力面での刺激が好きな子ども、必要な子どももいます。しかし、それほど知的興味を示さず、むしろ友達といる方がよくて、学習意欲はあまりない子どももいます。それに、英才児クラスのお友達とこれからうまくおつきあいしていく方法はいくらでもあります。

 先に述べたこととも関係しますが、もう一度述べます。重要なのは、人との関わりに心地よさを感じ、他児童とのコミュニケーションが促進されるように、お子さんをどう支援すればよいか、様々な配慮を行いながら対応を行うことです。このことは、IEPや504planを用いるか、用いないにかかわらず、非常に重要です。

 また、場面緘黙の子どもは、優秀な子どもであっても、教室で課題をやり終えることが難しかったり、テストの時間を延長することが必要な場合があります。教室ではもたもたしてしまったり、「考えること」に支障が出る子どもがいるのです。もしも息子さんがそうならば、より高度なカリキュラムを受けさせるのは、あまり得策とは言えません。しかし、もしも授業に何の問題もなく、家と同じ調子で学習できているなら、そして同じクラスになる予定の子どもたちと親しくなれそうならば、答えはもうはっきりしていますよね。