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Q2.場面緘黙児のホームスクーリングについて何かアドバイスをいただけませんか。 学校に通学せず、親が家庭でわが子を教育しています。
(4歳男児の保護者の質問)
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もうすぐ5歳になる息子が場面緘黙です(正式な診断はまだです)。息子はほとんど大人と話をしません。 話ができる大人はごく限られています。コミュニケーション(指さしや、子犬のマネで吠えて前足をかく仕草や鳴きまね等)をとれる大人がさらに数人いますが、他の大人たちとは全くコミュニケーションがとれません。大多数の大人が、後者に分類されます。社会的場面では、時間がたつにつれてだんだんとくつろげるようにはなるのですが、発話までには至りません。くつろげるようになると言っても、私の陰に隠れたり、床にひざまずいたりせずに、自分の席について食事をとれるくらいになるという意味です。それもしきりに、みんなが自分を見ないようにしてほしいと私たちに頼んできます。その一方で、子どもが相手なら、何も問題はありません。とてもよく遊びます。しかし、ゲームをどう進めるかや、自分の言い分を周りが聞くかなど、コントロールの問題はあるようです。すぐに感情的になるところがあります。
さまざまな理由から、私は息子にはホームスクーリングを行ってきました。息子を在宅で教えることは場面緘黙を知る前に決めたことです。しかし今、息子のこれからについて迷いがあります。私個人としては、家族がホームスクーリングできる状況なのなら、それはそれで意味があると思っています。不安障害のことを考えると、学校以外の人との関わりや教育の機会を子どもに与えることができるのならば、わざわざ子どもを、より不安を感じる状況におく必要はないように思うのです。
しかしマイナス面もあります。同じ人が毎日のように息子といっしょに学ぶような場所ならば、もっとはやく症状が改善されるのではないかと思うのです。エリザ先生は、場面緘黙の子どもに親がホームスクーリングをしているというケースを経験されたことがありますか。もしおありでしたら、その場合のよい点と悪い点を教えて下さい。緘黙児のホームスクーリングについて何かアドバイスをいただけませんか。どうぞよろしくお願いいたします。
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(エリザ・シポンブラム博士の回答)
私が住むペンシルベニア州フィラデルフィア地域では、実はホームスクーリングはあまり一般的でないのですが、場面緘黙の子どもへのホームスクーリングについては、私はあまり賛同できません。その理由についてこれからご説明します。ただし、あくまで1専門家の意見であって、科学的研究に基づいたものではありませんので、そう思って聞いて下さいね。
場面緘黙の子どもは不安をもっており、それも大多数が社会不安を抱えています。だからこそ、幼少期から人との関わりを頻繁に行うことが必要だと思います。これができそうなら、ホームスクーリングもよいでしょう。
しかし、ほとんどのケースでホームスクーリングを受けた子どもの多くが、家庭から学校に通った子どもに比べて、人との関わりの機会が少ないことを保護者は認めるのではないでしょうか。こう考えてみてください。もしも、あなたが喋ることが嫌だったり、怖かったりするのに、何かスピーチをしなければならないとしたら、あなたは緊張しますよね。
でも、もしもあなたがスピーチや人前にたつことを、幼い頃から経験していて、毎回聴衆を少しづつ増やしていきながら、これを何年も続けていればどうでしょうか。おそらくスピーチをすることに耐性が増し、どうスピーチに対応すればよいかが分かるのではないでしょうか。
想像してみて下さい。突如スピーチをすることになり、ものすごい数の人の前に立ったとしましょう。もしもあなたが過去にあまりスピーチをしたことがないとか、少しは経験したことがあったとしても、少人数を前に時折したことがあるくらいの程度だったなら…、どうでしょう。こんな大規模なスピーチを行うことになったら、あなたはどんなふうに感じると思いますか?
ちょっとしたスピーチをたくさん経験し、聴衆を少しずつ増やしていった場合に比べて、あなたはおそらく大変な目にあうのではないでしょうか。人は、スピーチ環境に少しずつ脱感作され慣れていくものなのです。このことは場面緘黙とよく似ています。お子さんくらいの幼い年齢から始め、ゆっくりと楽しみながら、脱感作し過敏性を減らしていけば…他の子ども達とつきあい、うまくやれる方法を学べるでしょう。その方が、高校や大学になってから、初めてある教育環境でひとりで取り組もうとするよりも、うまくいくでしょう。
これはあくまで場面緘黙児の場合です。緘黙児には、人との関わりをもつことや、社交不安に立ち向うことが必要です。ホームスクーリングでは、人と関わることや、幼いうちにどう社会不安に対処するかを学ぶことを、子どもから遠ざけ、さえぎってしまうのではないかと懸念します(もしもお子さんが社会不安を持っているならばです)。避けられない課題を、ただ後回しにすることになるだけかもしれません。
もしもホームスクーリングをされるのでしたら、必ず家庭の外で同じ年代の子どもたちと触れ合えるようにしていきましょう。社交上の自信や社会的スキルをつけるために、お子さんには同い年の子ども達と肌で触れ合って学ぶ経験がぜひ必要です。そうすれば、きっとうまくいくのはないかと思います。どうかがんばってくださいね。あなたはお子さんの母親です。たとえ他人がどう言おうと、母親のあなたがわが子に一番よいと思うことをされることが大切と思います。
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