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Q10.娘はEMT(特別教育のための専門家チーム)の審査を受けるか、留年を考えた方がよいのでしょうか?
(小1女児の保護者の質問)
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娘は今小学校1年生で場面緘黙があります。学校での状態は思わしくなく、読みの成績は6点でした。担任はとても親切で、これまでもいろんな手法を試み、対応してくださいました。これまで小人数指導や特別教育は受けたことがありません。担任の先生は娘にストレスをかけたがらず、娘のペースで取り組ませてきたのです。しかし今、学校からEMT(特別教育のための専門家チーム)の審査を受けるか、留年することを提案されています。私たちは、どうすればよいでしょうか。
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(エリザ・シポンブラム博士の回答)
実際のお子さんを存じ上げませんので、娘さんの読みの困難の正確な原因は特定できませんが、場面緘黙の不安が子どもの学力の問題の原因となりうることは確かです。まずひとつ質問があるのですが、どのようにしてお子さんの読む力を調べたのでしょうか。当然ながら、緘黙の子どもはたいてい教室で話せず、声を出して音読することができません。先生と1対1の時でも音読できない場合が多いです。家庭でビデオ撮影をしたものを見て、先生が採点されたのでしょうか。それならよいのですが。テープでもビデオでもかまわないので、何を読めばよいか先生に指示してもらって、ご家庭で音読を録ることをお子さんに促してみてはいかがでしょう。多くの場面緘黙の子どもたち、とりわけ学習面の問題を抱えた子ども達に対して、留年が解決策となることはほとんどありません。それよりも、どのような教育的配慮をどう行うかが大切です。おそらくIEP(個別教育計画)や504
Planを用いて、学校で話せないことへの支援をしたり、別のコミュニケーション手段をとったりすることが必要です。進級前の夏休みに補習として個別指導を受けることは、提案されませんでしたか。他に学習面で何か問題はあるのでしょうか。娘さんの社会性はどうでしょうか。
留年を考える以前に、他にとるべき対応法はたくさんあります。子どもが「話せない」から、そして学校側がその対応法を知らないからといって、子どもを留年させても何の解決にもなりません。対応法は、なぜお子さんに読みの困難があるのか、その原因を突き止める中で見えてくるはずです。お子さんは学習の問題を抱えているのでしょうか。それとも、不安の結果なのでしょうか。また、学校側の教育的配慮が不足していて、お子さんをこれまでうまく支援してこなかったために、問題が生じてきたということはないでしょうか。
(訳者注)EMT(Educational Management Team)は、学習面や行動上の問題をもつ子どもの支援について学校に助言をしたり、特別教育を検討するにあたって審査を行ったりする専門家チーム。
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