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セラピーの方法は場面緘黙の程度によって決まります。例えば、学校で全く話せない子ども(子どもとも先生とも話さず、ささやき声も出ない)や、学校で友達と話せない子ども、家庭外で大人と話せない子どもは、重度の場面緘黙です。この場合、私は薬物療法と行動療法の併用をお勧めすることが多いです。
学校や家庭で他の子と話せたり、ささやき声が出る場合や、家庭外で全く緘黙というわけではない場合は、保護者の方と一緒に話し合い、たくさんの状況に応じて、いっしょに治療計画をたてます。
これまでセラピーを受けたことがない子どももいるでしょうし、2年間異なるタイプの専門家にかかった子どももいるでしょう。つまり、お薬が必要かどうか決めるには、多くの要因を考慮する必要があります。
これは自信を持ってお伝えしたく思いますが、(娘さんくらいの年齢の)まだ幼い場面緘黙の子どもには、通常薬が驚くほど効果的です。きわめて低量の薬を9〜12ヶ月間だけ投与するのならば、場面緘黙の大多数のケースにおいて行動療法と薬を併用する方法が適していると考えます。
つまり、行動療法だけでは改善にどれほど長期間かかるか予測できないのですが、お薬を用いることにより、ほとんどのケースにおいて飛躍的に進行速度が速まります。特に「緘黙により学習された行動」が深く定着していない低年齢の子どもにはそれが顕著です。どうかよく考えてみてください。子どもが社会的に孤立し、人と交流しないなければ、その子の長期的予後はどんなものになるでしょうか。
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