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こんにちは。熱心な取り組みに感謝致します。SSRIについてですが、私が使用しているのは、プロザック(2011年現在、日本では未認可)、パキシル、ゾロフトです。中でも、最もよく用いるのはプロザックです。パキシルやゾロフトでも効果がありますが、プロザックのごくわずかな刺激作用が、内気な場面緘黙の子ども達には効果的なようです。
抑うつ症状についてですが、私のケースでは経験がありません。その理由は、まず私が会っている子ども達はたいてい抑うつ的ではないことがあげられます。文献では、抑うつ的な子どもや青年に対するSSRIの影響について取り上げられています。
2つめに、薬は少量の方がより効果があがるというのが私の信条です。私のところに来る子ども達には、脱抑制や無気力に陥っている子どもや、関心や意欲が減退しているように見える子どもがいますが、その子達はおそらく薬の量が多すぎるために、感覚や感情の鈍麻が起こっています。このような子達の状態は、「抑うつ的」と見誤りやすいのではないでしょうか。薬の量を減らすことによって、子どもが無気力な状態から脱することをよく経験します。
私の経験では、薬の量が多すぎると、脱抑制が生じます。それからしばらくして(特に、それでも増量すると)無気力な状態になります。私は幼い子どもにプロザックを15mg以上用いたケースはほとんどありません。8〜12歳の子どもでも20mg以上は用いません。それより年齢が上の子どもでも25mgまでで、それ以上を投与したことはありません。
薬の量が多すぎないことが大切です。そしてまた、薬を飲むだけで、セラピーを行わなければ、お薬の価値はほとんどありません。お薬だけでは、子どもはリラックスして見えるだけで、対処スキルを学ぶことも、コミュニケーション・スキルを体得していくこともできないからです。
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