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 SMG~CAN(米国)Q&A

Q24.場面緘黙の治療にセント・ジョンズ・ワート(訳者注)はどう思われますか?

(8歳男子の保護者の質問)

 8歳になる義理の息子Mが場面緘黙です。Mにセント・ジョンズ・ワートを1日1粒ずつ飲ませようかと思うですが、先生はどう思われますか。気分を一定のレベルに保つのに役立つように思います。私達夫婦は毎日飲んでいます。私達にはとてもよく効くので、Mにも飲ませてみようかと思ったのです。

 Mの父親は43歳で、当時は知らなかったのですが、今から思うと子どもの頃場面緘黙でした。成長につれて場面緘黙の症状はなくなっています。そのためなのか、夫はMに対してとても保護的で、Mが不安で落ちつかない状況におかれると、Mの代わりにすぐに答えます。それでよいのか夫婦で悩んでいます。親が代わりに答えてやってよいのでしょうか。それとも、もっと自分で答えようとしなければいけないと、Mに強く言うべきなのでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。

(訳者注)セント・ジョンズ・ワート:St. John's Wort《植物》セイヨウオトギリソウ 
ヨーロッパやアジアを原産とするハーブ。日本では弟切草、西洋では聖ヨハネ草として知られ、抑鬱効果のあるサプリメントとして使用されている。






 このコーナーの記事には、ハーブに関する質問がいくつかとり上げられています。私の意見では、ハーブはまだまだ未解明なことが多く、子どもへの影響などは全く研究されていません。セント・ジョンズ・ワートは不安よりも抑うつによく用いられますが、場面緘黙は不安から生じる症状の一種です。

 ハーブは比較的多い量が必要ですが、大人でさえその量は一定しておらず、子どもに一体どれくらいの量を与えればよいのか全くわかっていません。ハーブの抽出はさまざまですし、ブランドによってもハーブ成分の含有量が異なります。8歳のお子さんに本気でハーブを考えておられるのでしたら、ハーブの研究を行っているプロの専門家にお聞きください。正直に申しあげて、私はハーブ好きではなく、お子さんにはお勧めしません。

 「子どもの代わりに親が答える」ことについてですが、子どもが場面緘黙の場合、子どもを保護し、子どもの当惑を少しでも少なくしてやりたくて、親が代わりに答えてしまうのは自然の成り行きでもあります。

 あなたがすべきことは、お子さんと共に取り組むこと、そして応えるのが難しい時もあると理解していることをお子さんに伝えることです。 もし応えることができたらすごいし、できなかったとしても構わないと。 このようなことを子どもに伝えるだけでも、プレッシャーを取り除くことができます。

 ご存じのように、不安が下がれば発話が生じます。 さまざまな方法(薬併用の行動療法、または薬を併用しない行動療法)で発話を引き出すまでは、お子さんが突然話し出すということは期待できません。対処スキルをつけ、不安を下げるための治療や取り組みをしていないのに、子どもに答えさせたり、答えるように言ったりすることは、かえって子どもの不安を高めてしまいます。

 つまり、不安の軽減を助け、自己評価を高めて社会的場面での自信を増やすためのセラピーを子どもが受けはじめれば、発話は自然に生じます。そうすれば、不安が高まらないように、子どもをいつ、どのように励ませばよいか、あなたもすぐ分かるようになるでしょう。



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