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 SMG~CAN(米国)Q&A


 子ども病院医療センターに勤める臨床児童心理士で、Kと申します。この地域で場面緘黙を治療している援助者は少なく、私が他の不安障害の子どもを多く診ているためか、最近は場面緘黙の子どももよく照会されてくるようになりました。私は、認知行動療法(CBT)が専門ですが、対人過敏を伴う感覚統合障害(SID)の概念も活用して治療にあたっています。
 保護者の多くの方が薬物療法にかなりの抵抗を示されます。私は場面緘黙への薬物療法について十分な基礎的知識がないため、あまり自信を持って精神科医受診をお勧めすることができていません。資料やこのサイトの情報には目を通してきましたが。セラピーに加える治療選択肢の一つとして保護者にお薬を検討していただくためには、どのようにお話すればよいのでしょうか、先生にそのモデルを示していただけると嬉しく存じます。





 K先生へ
 場面緘黙の子どもの治療に当たっていらっしゃると聞いて大変嬉しく思っております。我々はこの不安障害をきちんと理解している専門家を懸命に探しています。大変重要なご質問をどうもありがとうございました。と言いますのは、場面緘黙児への行動論的アプローチは、必ずしも効果的とは言えないからです。実際、大多数の子ども達に真性の生物化学的不均衡があり、薬によって「低減している神経伝達物質」を回復させることが必要だと私は確信しています。

 私は、保護者にはまず「場面緘黙の症状の程度によって、行動修正法を試みる」ことをお勧めします。そして、よく話し合って理解いただいてから「行動的技法に薬物療法を組み合わせることで、より迅速に効果的に子どもの改善を促すことができる」という私の考えをご両親にお伝えします。つまり、行動的技法に効果がみられない場合は、子どもの不安ベルが高すぎて十分な反応が得られないことが原因であること、行動療法が開始できる程度まで、子どもの内的な不安レベルを下げる必要があり、そのためにお薬を使うということを、保護者に説明するわけです。

 保護者に説明するとき、私はよく「バロメーター(気圧計)」を用いて説明します。不安の高い子ども、特に場面緘黙の子どもは、一定水準の不安レベルを持っていることをバロメーターで示します。そして、場面緘黙の子どもの治療を効果的に行うためには、内的な不安レベルを下げる必要があると説明します。

 以上、お役に立てれば幸いです。先生の場面緘黙に対するご尽力、更なる知識を得ようと学ばれる姿勢に感謝致します。

エリザ・シポムブラム


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