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 SMG~CAN(米国)Q&A


(5歳女児の保護者からの質問)

 この6月に5歳になる娘が場面緘黙ですが、お薬について質問します。現在、週に1度心理士にかかっています。その心理士に慣れて最終的には話し始めるよう援助していただいています。これは9月に園が始まった後、心理士が園に出向いて娘を支援できるようにするためです。

 ところが、娘の発話を促すには明らかに薬物療法が必要なようで、心理士からはパキシルを勧められました。私達が気がかりなのは、主に薬の長期的影響がわかっていないことです。やがて時がたってから危険な副作用が判明するのではないかと心配なのです。成長期の子どもにとってパキシルのような薬はどれくらい危険なのでしょうか?また、薬は脳内のセロトニンの分泌を「活性化」できることもあるとどこかで読んだことがあります。これは本当なのでしょうか? どうか先生のご存じの範囲で結構ですのでお教えください。



 多くの保護者の皆さんが、お薬についてあなたと同じような心配をされています。このサイトでも他の保護者からのよく似た質問をたくさんお受けしてきましたので、どうぞご覧になってくださいね。他の質問でもお答えしていますが、このタイプの薬の全般的な安全性を証明する長期的研究はありません。しかし、すべての予備的研究においては小児への安全性が示されています。

 長期的研究がないのは、ただ単にこれらの薬が出たのが1988年で、まだ使われ始めてから間もないからです。今後30年のうちにどうなるかは、本当に誰も知り得ないことでしょう。しかし、私は皆さんにちょっと考えていただきたいのです。場面緘黙や社交不安が続く場合の長期的影響の方はどうでしょうか。考えるのも恐ろしいのでは? 違うでしょうか? これが、多くの保護者が薬という方法を選ぶ理由のひとつです。

 最近医師がパキシルを処方することが増えてきました。社交恐怖の治療薬として承認されているのはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)だけです。場面緘黙は主として社交恐怖を背景とした不安障害の一つと考えられているため、パキシルが用いられます。プロザック、パキシル、ルボックス、セレクサ、ゾロフト(プロザックは日本で未認可)は似た作用をする薬です。これらの差違はわずかで、同一の症状に対してよく用いられます。

 パキシルは半減期が短く、服薬中止時の離脱反応がかなりやっかいな場合がある点が懸念されます。薬を飲み忘れた場合は、24時間以内に離脱症状が出る可能性があります。それに対して、プロザックは、離脱症状が少なく、作用が数日間持続します。そのため飲み忘れても通常影響はありません。主にこのような理由で、私はプロザックの方をお勧めしています。そしてまた、これまでプロザックを多くの子ども達に使用してきましたが、大変効果があったこともお伝えしたく思います。

 薬が身体に対してセロトニンの自己分泌を促す作用をするかどうかという質問ですが、そのようなメカニズムは解明されていません。ただ、約9ヶ月間で投薬中止に成功しているケースが多いことが、研究で明らかとなっています。



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