かんもくネット SMG~CAN(米国)Q&A    

   
 SMG~CAN(米国)Q&A

Q1.娘といる時に、他人から話すよう求められた場合、親はどう対処すればよいのでしょうか?
   
(7歳女児の保護者の質問)

 
私たち一家はオーストラリアのキャンベラ在住なのですが、つい最近7歳の娘が場面緘黙と診断されました。場面緘黙は私達の地域でほとんど知られていません。いろんな人に啓発していくためにできるだけ多くの情報を得ようと模索しているところです。

 さて、我が家の悩みです。 娘を連れてい る時に、娘が誰かに話すのを求められた場合、親はどう対処するのが一番なのでしょうか。 例えば、お店で 友達にばったり会って、娘が何か聞かれても何も返事をしようとしない場合、親はどうすればよいでしょう。

 私の思いつく範囲では、
(1)親が代わりに答える 
(2)相手に「うちの子は場面緘黙なの」と娘の前で伝える
(3)気まずいが、沈黙のままにしておく(するとたいてい「ホントにシャイだね」と言われます)
が考えられます。
親は、どう振る舞えばよいでしょうか。




 (エリザ・シポンブラム博士の回答)

 とてもよい質問ですが、お答えするのが大変難しい質問です。いろいろな側面から考える必要がありそうです。

 まず、娘さんとご両親の双方が、場面緘黙について考えたり話したりすることに対しどれくらい抵抗がないかによります。

 2番目に、お子さんの不安の高さによります。 つまり、言葉以外の方法で応じたり笑ったりできるか、見知らぬ人に小な声でも話すことができるか、それとも、全く固まってしまって無表情のままなのかということです。ここで私が申し上げたいのは、お子さんの不安の強さによって、お子さんに期待できることも変わってくるということです。

 取り組みを行う中で、支援者はお子さんの症状改善や前進を援助するために、目標を立てながらご両親を導いていきます。娘さんに不安の大きさを数字(1〜5など)で表現してもらうと、親や支援者はお子さんがどう感じているかを把握することができるでしょう。例えば、外で誰かに何か聞かれた時や人からあいさつされた時にどう感じるか、娘さんに尋ね、娘さんにその時の気持ちを数値化してもらいましょう(これにはさまざまな方法があります)  
(訳者注:Knet資料No.5参照)

 それからどんな返事の仕方なら、不安が高まらずにできそうか、娘さんと話し合ってみましょう。もしもお子さんが、あなたが言われているような場面でいつも黙っているなら、「こんにちはと言うこと」を期待するのは不安を悪化させるだけです。しかし、「相手にメモを渡すこと」や「手を振ること」なら、それほど不安が大きくならずにできるかもしれません。お子さんの不安の大きさを、その判断材料のひとつとして使うのです。娘さんが手を振ったりメモを人に渡したりできた場合は、すぐに褒めて、そして不安の大きさがどうだったか尋ねてみましょう。 短期間で娘さんが感じる不安はみるみる弱まり、いろいろなことがどんどん出来るようになっていくことでしょう! 支援者は、多様なコミュニケーションのステージを通して、きっとあなたを援助し てくれるはずです。
 
 「他の人になんと言えばよいか」ですが、これも 、お子さんの不安や場面緘黙について、あなたが他の人に話すことにどのくらい抵抗がないかによります。お子さんの不安の大きさによって、相手に言う言葉も違ってきますが、もしもお子さんが緘黙児にありがちな状態で、黙り込んで相手をじっと見るだけだったり、目をそらしたりするなら、親としてこんな風に言ってあげられるかもしれません。

 「うちの子は、よく知らない人や外で出会った人に返事をすることが(又はお話をすることが) 難しいことがあるの。」
またはこうも言えるでしょう。
 「うちの子はお返事は難しいんだけど、手は上手に振れるのよ 」などなど・・・・・・・
 
 大切なことは、あなたが抵抗のない範囲で 相手に答えてあげるということです。

 SMG~CANでは、周囲の人に渡して、場面緘黙についての理解を広める提示カードをご用意しています。

 
(訳者注:かんもくネットでも「提示カード保護者携帯用」「提示カード当事者携帯用」を作成しました。)



  SMG~CAN(米国)Q&A 目次に戻る