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息子さんの抑うつ症状、成績の低下、社会的引きこもりなどの状態は、おそらく不安障害が未治療であることから生じた二次的問題だと思います。これは間違いなく治療が必要です。
息子さんの診察をさせていただいた訳ではないので、具体的な治療法をお示しすることはできません。ただ、彼の年齢や思わしくない症状からいって、薬物療法が有効であり、息子さんが対処スキルを習得できるように必ず行動療法を並行して行うのがよいと思います。薬物療法だけでもある程度の効果はありますが、生活に必要な対処スキルを習得させるには行動療法が不可欠です。その行動療法が行える程度にまで、子どもの不安を低減させるために薬を用いると考えてください。
場面緘黙の子どもの90パーセント以上が、社交不安障害(SAD)でもありますので、あなたの息子さんも社交不安障害をもつのではないかと思われます。そのため、もしも場面緘黙に理解のある専門家を見つけられない場合は、社交不安障害に精通した専門家をお探しになるとよいでしょう。
行動療法では種々の技法を組み合わせることが大切です。脱感作(※訳者注1)と正の強化を用いた認知行動療法がよいでしょう。イメージを用いるセラピーや、セラピストと話す方法も効果があります。治療の目標は、息子さんが気楽に他人と関われるようになることです。
このコーナーの他の質問でも申し上げてきたことですが、自己評価を高めることも極めて重要なことです。場面緘黙をコミュニケーション不安の一種として理解すれば、親も子どもも、これから取り組むべきことが把握しやすくなるでしょう。例えば、息子さんは非言語での応答を不安なく行えますか。ジェスチャーや肩を叩くなど、ことばを使わずに人に働きかけることができるでしょうか。つまり、息子さんが示す状態の特徴を把握すれば、彼に合った治療手段や方法が決まってくるということです。
SMG〜CANの会員サイトの全体に目を通されることもお勧めします。あなたが抱えてきた悩みと同じテーマの質問が、他にもたくさんあります。迅速な治療がとても重要なのです。息子さんのような症状がある場合、すぐにでも治療してあげる必要があります。
(※訳者注1)
十分にリラックスした状態で、低い不安対象から階層的に暴露してゆく行動療法の技法の一つ
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